オバマ氏の演説1
オバマ氏は、選挙が始まる前後は、はっきり言って無名ともいえる存在でした。
というのも、彼はまだキャリアの少ない議員だったからです。
それに対し、クリントン元大統領の婦人であるヒラリー・クリントンさんは、既に幾度となく世界的な報道において姿を見せており、30年以上のキャリアと加え、その知名度は圧倒的なものでした。
通常、どう考えても全く相手にならないような差が両者の間にはありました。
しかし、誰もが知っての通り、この二人の予備選挙は熾烈を極めました。
その要因は、オバマ氏が選挙戦が始まった途端、急速にその知名度を上げてきたからです。
ただ、大統領候補である限り、知名度自体は嫌でも上がります。
問題なのは、支持率です。
そして、その支持率においても、オバマ氏は極端な伸びを見せました。
では、それはどうしてでしょう?
オバマ氏には、演説という武器があったからです。
オバマ氏の演説は、すさまじいまでの支持を集めました。
これは、内容が圧倒的に優れていたから、というわけではありません。
聞かせ方、構成、わかりやすさ、そして熱意といった、演説に必要な要素を全て兼ね備えていたからです。
オバマ氏の演説は、非常にシンプルな言葉を多用します。
特に多く用いられるのが、「We」や「You」といった単語です。
これらの言葉を重ねる事で、団結心や親近感が聴衆に生まれていきました。
演説において重要な、わかりやすさと聞かせ方が最も如実に現れている部分と言えます。